入念に周囲を観察しながら駅まで引き返した俺は、指を貰う場所と方法を考えた。
狙う場所は、途中に1箇所だけ人1人がようやく通れるだけの路地があった。あの場所しかない。
その路地は灯り等全く無いビルの谷間で、その奥は線路の壁で行き止まり…
申し分無い。
あとは、どうやってこの人通りの多い場所で、騒がれずに切り落とすかだ。
どうする?
何かで眠らせるか、気絶させる事が出来れば簡単だが…
その時俺は、自分の店をオープンした際に、護身用にと知人にプレゼントされた物を思い出した。
確か、使う事など無いと思い、箱に入れたままレジの下に放置してある筈だ。
現在の時刻は18時30分。時間は十分にある…
俺はその道具を取りに、自分の店へと走って帰った。それさえあれば、押さえ付けて力任せに指を切り落とす作業が省けるからだ。
「可能な限り、面倒な事はしたくない」
それが本音だった。
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