女子高生は駅の構内から外に出ると、3台並んでいたタクシーの前を通り過ぎ、人波を掻き分ける様に進んで行った。
俺はその後ろを、見失わない様について行く――
歩道には道幅一杯の人の流れ。これだけ人がいれば、俺が女子高生を狙っている等疑われる心配もない…
俺は女子高生が歩いた後を、寸分違わずトレースする様に歩いた。
駅から歩いて5分、駅前の道を東側に歩いた場所で女子高生は濃いグレーのビルに入って行った。
そのビルには、その女子高生以外にも、次々と生服姿の学生が集まってきていた。
「やはり進学塾か…」
女子高生が入って行ったのは、全国的に有名な進学塾だった。
塾ならば、そんなに直ぐ出て来るという事も考え難い。18時から講義があるとすれば、終わるのは21時前後だろう…
このまま駅までの道を引き返し、指を貰う場所や方法を検討しよう。
俺は再び駅へと、来た道を引き返す事にした。
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