駅に着くと、既に帰宅するOLやサラリーマン、学生達で溢れ返っていた。
ここは私鉄の小さな駅だが、繁華街に近い2つの駅の内の1つで昼間から利用客が多い。しかも、近隣のオヒィス街に勤務する人達も利用する為、ラッシュ時は酷く混雑する。
俺は自動改札が見える位置にさりげなく立つと、改札を通過する為に伸ばす手を睨み付ける様に見詰めた。
これなら、全ての利用客の指を確認する事が出来る。
出来る事なら、この駅で下車する人が良い。電車に乗る人を追い掛けるとなると、かなり面倒だ。
そんな事を考えていると、駅に到着した電車から降りた乗客が、自動改札に雪崩れ込んできた。
大半は夜の繁華街に繰り出す若者や、水商売風の女性だが、制服姿の学生も混ざっていた。この近くにある、進学塾に通う学生もいる様だった。
そんな女子高生の中の1人の手に、俺の視線が釘付けになった――
.



