17時過ぎ――
俺は店を閉め、駅に向かう準備をする為に作業場に入った。
今回は人目の多い場所だし、尾行しなければならない事を考えると、明らかに怪しい格好では行けない。
服装はこのままで良いにしても、問題は道具を必要最低限にしなければならないという事だ。
最低限必要な物は、ノミとナイフ…
位のか?
後はその場に合わせて、自分でなんとかしよう。
俺はノミとナイフを新聞紙で包むと、ポケットに強引に押し込み、シャツをズボンから出して隠した。
「よし行くか…」
自分の想定していた時間より少し遅くなったが、俺は逸る気持ちを押さえながら駅に向かった。
必ずいる。
俺が求める指をもった女が、必ずいる!!
今度は、俺が切った物は腐らないし干からびたりしない。俺の指輪の飾り台として、永遠に美しさを演出するのだ!!
.



