店に帰ると、いつも通りに開店した。

来店客は増え、俺の駄作を嬉しそうに買っていくが、やはり俺が作業場から指輪を持ち出す様な指には出会わなかった。


やはり、こちらから探しに行かなければ、理想の指など見付かる訳がない…
とりあえず、人が大勢集まる場所に行けば、自然と見付かる可能性も上がる筈だ。

人が集まる場所……



そうか駅だ!!

17時から19時位の時間帯に駅に行けば、当然大勢の人が集まる。


最寄りの駅は繁華街方面に少し行った場所にある、家電量販店の角を曲がり5分程歩いた場所にあった。

店からなら、10分余りで行ける場所だ。


「ふはは!!
何だ、簡単な事じゃないか」

俺は駅に集まる人達の姿を想像しながら、思わず表情が緩んでしまう程に胸が高鳴り、鳥肌が立ってきた。


今度は人目に付く場所だけに、チャンスを伺い尾行しなければならない。

テレビドラマの様に、クロロホルムを使って強制的に眠らせるか?


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