「もう9時か…」

ふと作業台の上に置いている時計を見ると、9時10分を指していた。


何気なく頬に手をやると、何かがパラパラと床に落ちた。昨夜浴びた返り血が固まり、まるでかさぶたの様に剥がれたのだ。

血の鉛臭さが染み込んだジャージに、血のりが変色して黒くなったタオル…
こんな血まみれの格好では、とてもではないが店も開けられない。


俺は半袖の白地に紺色の縦縞が入ったシャツとジーンズに着替えると、店舗のカウンター奥にあるトイレで顔を洗った。

そして、ジャージとタオルを突っ込んだ紙袋を持つと、店を出た。日課である銭湯に行くついでに、銭湯の隣にあるコインランドリーに寄る事にしたのだ。



外は曇りで日射しは弱く、汗をかく事もなく俺は銭湯に辿り着いた。


次のターゲットを、見付けなければならない。

だが昨夜の事もあるし、この近くで探すにはリスクが高い。少し離れた場所で探す方が無難だろう。


一体どこで?


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