自作のジュエリーのみを販売しているという事もあり、店内は余り広くない。
5メートル四方の店内の両側には、商品を並べる腰の高さ程の棚。そして、正面にカウンター型のショーケースといった内装だ。
俺はカウンターの中に入り、背もたれの無い丸椅子に座る。そして、カウンターの中に置いてある机の上に持っていたケースを置いた。
もう一度じっくりと眺める・・・
角や表面の磨耗度合いから、かなりの年代物という事は分かる。しかもこのケースの重量は、普通の鉄製品よりもかなり重い。
初期の鉄器は鉄を含んだ隕石を製錬して作ったと、以前テレビの特集で見た事がある。
この質感は鉄というより石に近い・・・
「ヘブライ文字か」
ヘブライ文字は旧約聖書が記された時代、もしくはそれ以前に使われていた文字だ。
あの店主の言葉も、まんざら嘘ではないのかも知れない。



