「よし…」
俺は白い床の上で上体を起こすと、作業台に手を掛けて立ち上がった。
そう――
作業台の上には、昨日手に入れた薬指が、俺の指輪を艶やかに飾っている筈だった。
しかし、立ち上がって作業台の上を見た時、俺は愕然として全身の力が抜けた。
当然といえば当然の結果だ。強い欲望と興奮の余り、重要な事を忘れていた。
俺は力無い震える手で薬指を持ち上げ、指輪を抜いた…
昨日の薬指は、スポットライトの熱と乾いた空気で乾燥し、見るも無惨にミイラの様になっていた。
皮膚は潤いを失い干からび、真っ直ぐだった指は乾燥と筋の硬直によって、くの字に折れ曲がりただ醜いばかりだった。
「うわあ―――っ!!」
俺は怒声とも悲鳴とも判別出来ない声で叫ぶと、持っていた指を壁に思い切り投げ付けた。
「そうだ――
そのままの状態で保つ方法があるじゃないか!!」
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