翌朝――
俺はざわめきと共に目が覚めた。
昨日は興奮の余り気付かなかったが、昨夜ホームセンターに向けて出掛ける時にテレビを消し忘れていた。
「…――次のニュースです。昨夜22時頃市内で帰宅中のOLが背後から襲われ、耳を切り取られるという事件がありました。耳を切り落とすという残忍な手口から、連続耳切り魔の犯行の可能性が高く、警察が犯人の行方を追っています。
尚、今回犯人は指を切り落とすという――…」
「ふはは!!
警察もマスコミもマヌケばかりだな。
よく考えれば、今回の犯行なんて穴だらけだろ?
こんな事だから、耳切り魔すら捕まえる事が出来ないんだ
まあ、それも計算通りだがな。
お、そうだ。
これを捨てておかないとな…」
俺は上着のポケットに手を入れると、昨日の女性店員の耳を取り出した。
「こんな物、俺には必要無い物だ…」
俺は既に干からびて硬くなった赤茶けた耳を、作業台の下にあったゴミ箱に投げ込んだ。
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