血溜まりに浮かぶ薬指を拾った俺は、首に掛けていたタオルで薬指を丁寧に拭き、持ってきたガラスビンに入れた。
そして、そのビンを再びポケットに入れると、立ち上がった。
早く帰って、俺の指輪をこの指に嵌めたい。早く俺の作った指輪が、今よりももっと神々しい光を放つ様を見たい!!
早く帰らなければ――
路地の出口に向け、1、2歩進んだ所で俺は大事な事を忘れていた事に気付いた。
俺は振り返ると、持ってきたナイフを取り出した――…
俺は人目に付かない様に、薄暗い裏道を選び全速力で走って店に戻った。
そして急いで鍵を開けると、カウンターの角で肘を打ち付けてしまう程の勢いで作業場に飛び込んだ。
「ハハハハッ!!
やったぞ!!
やっと俺の手元に指輪と指が揃った。
これでいつでも最高の状態で、俺の指輪を飾る事が出来るぞ!!」
俺はポケットからガラスビンを出すと、作業台の上に置き中から指を取り出した…
.



