その瞬間──
女性店員の身体が一度大きく震えた。


ノミは見事に薬指を切断し、骨で詰まる事もなく真っ直ぐにアスファルトに到達した。薬指は切れた反動で1メートル程先まで飛び、爪を上にして転がる。

暗闇では黒い液体でしかない血が、切り落とした指からジワジワと溢れる。しかし切り落とされた手からは、その指まで届く程の勢いで血が噴き出していた。


その芸術的な切り口は美しいまでに垂直で、皮膚も肉も骨もまるで飴の様だった。


女性店員は指を切り落とした瞬間意識を取り戻したが、自分の血に染まりながら再び意識を失った。

俺は馬乗りになっていた体勢から素早く立ち上がり、指の飛んだ場所まで歩いていく。
愛しい指に、スッと手を伸ばした――


駄目だ・・・
嬉しくて嬉しくて、手が震えて、せっかく手に入れた指を落としてしまいそうだ。

落ち着け、落ち着け・・・


ああ、それにしてもなんて美しいフォルムなんだ。まさに、俺の指輪に相応しい指だ。

やはり、俺の目に狂いは無かった!!