「いよいよだ・・・」
背中に馬乗りになったまま女性店員の左の手首を持ち、肘を曲げて肩の上辺りに手の平がくる様にアスファルトに固定する。
そして、手の平をジャンケンのパーの様に広げ、目当ての薬指が綺麗に切り落とせる様にスタンバイした。
嬉しくて嬉しくてたまらない。
全身に歓喜の鳥肌が立つ。
もう、目に涙まで浮かんできた。
俺はポケットに手を突っ込むと、ノミと鎚を取り出す。暗闇に慣れてハッキリ見える様になった目で、薬指の根本に照準を合わせた。
手がブレない様にノミの狙いを定め、思い切り鎚を振り下ろさなければならない。そうしなければ、切り口が美しくならない。
もし失敗すれば、この指はただのゴミだ。
俺がノミの刃先を薬指の付け根に添えると、まだ力も入れてないのに血が滲み出してきた。
この切れ味・・・
これなら間違いない!!
俺は右手に持った鎚を、大きく振りかぶった――



