ああ・・・
早く出て来い。
早く、早く、早く――!!
21時49分――
ついに、その時がやってきた。
あの女性店員が、ホームセンターの駐車場を横切ったのだ。
徒歩だ。
しかも、1人で歩いている。
まさに、天が俺に味方しているとしか思えないシチュエーションだ。
俺は素早くオフィスビルの正面に回り込み、身を屈めて女性店員が進む方向を見極める。
女性店員は、ホームセンターの駐車場を出ると繁華街方向ではなく、マンションが多い住宅地方面に歩いて行く。
この方向にはワンルームマンションが多く、1人暮らしの可能性が高まった。しかも、好都合な事に、この時間帯になると極端に人通りが少なくなる。
俺は気付かれない様に、物陰に隠れながらチャンスを狙う・・・
5分ほど背後をつけて行くと、街灯が無い路地が見えてきた。あと10メートル。少しずつ歩くスピードを上げ距離を詰める。
あと3メートル。音を立てない様に、爪先立ちで走り出す――



