薄暗い照明しかない階段は、道路に設置された街灯により照らされている。

階段を上がると営業時間が19時までのブティックには既に人気が無く、歩道に面したショーウィンドゥのマネキンが俺を見た。その無機質な表情が、徐々に薄ら笑いに変わっていく。


俺は暗闇に溶け込む様に、ヒタヒタとホームセンターに近付く。

この辺りは繁華街から外れた場所という事もあり飲食店等が無く、20時を過ぎて営業しているのはスーパー銭湯とコンビニエンスストアだけだ。

ああ、それと、今俺が目指しているホームセンターがあるか・・・


ホームセンターの明かりが右前方に見えてきた。

時刻は20時55分。
薄暗い歩道からホームセンターの方を見ると、従業員が右へ左へと慌ただしく動く様子が窺える。閉店準備に入っているのだろう。


俺は周囲を見渡し、ホームセンターの出入り口が見え、かつ、歩道を通行する人から見えない場所を探した。

さすがに、今の俺の格好はあからさまに怪しい・・・