翌日――
10時前に作業場の壁際に置いた、白い布張りのソファーの上で目を覚ました。アパートを追い出された俺は、最近買ったこの安物のソファーで寝ている。
グッと天井に手が届きそうなほど背伸びをすると、首を左右に振りながら起き上がる。
昨日買ったスポーツドリンクのペットボトルを開け、渇いた喉に流し込んむ。
「よし。午前中は店を閉めて、銭湯に行くついでにホームセンターに行ってこよう」
俺はキラキラと変わらぬ光を放つ指輪達を眺めながら、満面の笑みを浮かべながら作業場を後にした。
ホームセンターは、銭湯から徒歩で5分ほどの場所にある。指を切り落とす最適な方法が、ホームセンターにあれば良いのだが・・・
階段を上がり表通りに出ると、広田さんが開店前の掃除をしていた。
「おはようございます」
「あ、おはようございます!!
お出掛けですか?」
「あ、ちょっと銭湯に」
広田さんの右手には、今日も俺がプレゼントした指輪が煌めいている。それを目にした俺の口元が、無意識に緩んだ・・・



