錆びた鉄製のケースを手に俺は店を出た。


サタン・リングだなんて、まるでロールプレイングゲームのアイテムの様な名前だ。アスファルトの歩道を歩きながら、思わず苦笑いする。

耳元でケースを軽く振ってみる。
しかし何の音もしなければ、鉄製のケースは結構重量があり、中に物が入っているのかどうかもよく分からない。


「まあ良いか・・・どうせ千円だしな」

俺は余り気にする事もなく、ケースを右手に持って自分のジュエリーショップへと足を向ける。

ここから徒歩で10分程の場所にある、茶色いビルの地下が俺の城だ。


あれ、そういえば・・・
この道は時々通るが、あんな骨董屋なんかあったかな?

少し不思議に思いながら頭を捻っていると、前方に家電量販店が見えてきた。俺の店はこの家電量販店の2軒先、若年層向けのブティックの地下にある。