俺は作業場に入ると、中心にある机に向かう。そして、その上に鎮座する指輪のから、草壁さんの指に映えそうな方を手に取った。


「これが良いと思いますよ」

俺が差し出した指輪を見て、草壁さんの表情がパッと華やぐ。

それはそうだ。
店頭に飾ってある指輪は誰に買われても後悔しない様に、これに比べれば数段落ちる物を並べてあるのだから。


「この指輪は7号なんですが、多分右手の薬指ひピッタリではないですか?
試しに嵌めてみて下さい」

草壁さんは俺が差し出した指輪を、数億円するジュエリーの様に緊張した表情で受け取る。

そして左手に持つと、いよいよ右手の薬指に――


おお!!
心臓の鼓動がいつもの数倍早く打ち付け、血流のスピードに耐えかねて頭がクラクラしてくる。足は爪先から小刻みに震え、昂る思いを抑えようとする手には、ジットリと汗がにじんでくる。

素晴らしい。
まさに、俺の理想のバランスだ!!


「ピッタリです!!」

草壁さんは指輪を嵌めた右手を、自分の目線より少し上に掲げて見詰めていた。

俺の指輪が・・・
ああ、草壁さんの指に嵌まっている!!