それは、広田さんよりも百合よりも、もっと俺の理想に近い・・・
いや、奇跡の指だった。

中でも一番美しい指は、右手の薬指だ。
真っ白なきめの細かい肌に、真っ直ぐに伸びた長い指。指のサイズは、7号といったところだろうか?

マニキュアもクリアのみで、爪に絵を描くなんて事は全くしていない。それでいて指に対し均整の取れた透き通る爪が、更に指全体の優美さを引き立てている。


「――さん・・・葉山さん?」

その指に足を止めて魅了されていた俺の耳に、何度も自分の名前を呼ぶ声が届いた。

「あ・・・ああ、先日の刑事さん」

その指の持ち主は、連続耳切り事件の事について聴き込みをしていた女性刑事の物だった。


「また聴き込みですか?
写真の男は、うちには来店してませんけど。とりあえず店開けますから、よろしかったらどうぞ」