「これサイズは?」

女性達の1人が、カウンター越しに俺に声を掛けてきた。

「あ、はい、サイズなら合わせる事が出来ます」


俺が作る指輪は、基本的に6号から8号。それは、そのサイズの指が俺の理想とする指だからだ。つまり俺からすれば、俺の作った指輪は、そのサイズの指に嵌めて初めて映える様に作ってある。

「あの、指のサイズは?」

「9号です」 

9号・・・


「あ、私もこの指輪が欲しいんですけど」

もう1人の女性も、ショーケースの中の指輪を指しながら言った。指輪を示す指を見ると、調整しないと入らない事は一目瞭然だった。

「えっと、サイズは?」

「10号です」

10号・・・


商品である以上、ジュエリーショップを営んでいる以上、売らなければならない。

それは分かっている。

分かってはいる・・・


「少々時間が掛かりますが、お待ちになりますか?それとも、改めてご来店なさいますか?」