指輪のサイズ調整が終わると、可愛らしい白色のケースに入れる。そして、それを持って店を出ると階段を上がった。
1階に上がると、すぐ左側がブティックの入口になっている。一面ガラス張りの店舗は、外からもゴージャスな店内がよく見える。
「こんにちは」
俺はガラスの扉を押して店内に入り、可能な限り明るく声を掛けた。すると、奥にあるレジ近くの棚を整理していた広田さんが首を向けてこちらを見た。
「葉山さんいらっしゃい。何か御用ですか?」
ちょうど昼時という事もあり、広田さん以外の店員は食事に出ている様だ。
俺は店の中心付近にある棚を避けながら、広田さんの方へと歩み寄った。
「新作が出来たから、広田さんにプレゼントしに来たんだ。と言っても、宣伝目当てなんだけどね。ハハハ・・・」
「宣伝ですかあ・・・しっかりと、愛を込めてプレゼントして下さいよ!!」
軽口を交わしながら、俺は手に持っていたケースを差し出した。



