翌日――

徹夜で作り続けた俺は、更に完成した5個の指輪をショーケースに並べ店を開けた。


徹夜で作った指輪は最初に作った5個よりも更に洗練され、自分でも目が離せなくなる程の美しさだ。

しかし、元々宣伝もしていないこの店に来店客は無く、徹夜の疲れも手伝って俺はカウンターで眠ってしまった。


「こんにちは」

どれ程の時間眠ってしまっていたのか、扉を開けて中に入って来た人の声で目が覚めた。

「あ、はい・・・いらっしゃいませ」

慌てて顔を上げ、チラリと右側の壁に掛かっている時計を見る。既に11時を過ぎている。


来店した細身の女性は、黒のパンツに白いブラウスといった姿で一見OLの様な服装だ。しかし、何か異質な雰囲気を纏っている。

肩よりも10センチ以上は短い真っ黒なストレートヘアーに、少し大きめの黒縁のメガネ。しっかりとした歯切れの良い口調は、冷たい印象さえ受けた。