草壁さんの身体が、力無くその場に崩れ落ちた。

それを見ていた俺の脳裏に、ホームセンターの女性店員を襲った時の事から三谷神社の巫女の頭蓋骨を削ぎ取った時の事までが、走馬灯の様に蘇った――


俺は激しい嘔吐と嗚咽に繰り返し襲われ、目からは滝のように涙が溢れて止まらなかった。

後悔と懺悔の念が、いつ果てるともなく波の様に打ち寄せ、精神を崩壊させる程に脳を揺さぶっていた。


そう――

指輪による力を失った俺は、代償として失っていた感情を一気に取り戻し、今まで感じていなかった後悔と懺悔の念を、一度に心身に受けたのだ。

ストックされていた感情を、一度に受け止めるなど不可能だった。



今なら分かる…
あの独裁者の末路が、自殺だったという事が。



そして…

パンドラの箱の底に残っていた物が、一体何だったのかも――…





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