「あ、悪魔が力を…?」


混乱する俺に、悪魔と名乗るその怪しげな者は、笑いながら話を続けた。

「サタン・リングによって得られた力が、神の力とでも思っていたのか?

人間はいつもそうだ。自分の都合が良い様に、自らを正義だと言い、正当化する為に神の力だと叫ぶ。

サタンという名が付いた物に宿る力は、悪魔の力に決まっているだろう」


「あ、悪魔…
俺は今まで、悪魔の力を使っていたのか?

悪魔…
俺は悪魔の――」

「まあ良い…」


椅子からスッと立ち上がった異形の者は、俺に片手を翳して言った。

「そのサタン・リングによって発生する苦痛や怨嗟を、我々は糧として欲している。

その為に、世の中を怨み堕落した深い闇を持つ者に指輪を渡し、殺戮と苦悩を撒き散らさせている。

これが、神の力だと思うか?
悪魔の執行官としての、力ではないのか?


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