「やはり…
凡人には分からないのか。
まあ良い。
草壁さん、貴女の左手をこの指輪の飾り台として頂けば、全てが終わります。
さあ、左手を出して下さい。多少痛みはありますが、血はでません。
さあ、それで全てが終わるのですから!!」
俺は椅子から立ち上がると、草壁さんへと一歩一歩近付いて行った。
そして、作業台を回り込み、真横に立ち椅子に座っている草壁さんを見下ろした――
「終わり……か。
確かに、もう終わりにしよう」
「え?」
その時、どこからともなく、低くしゃがれた声が聞こえてきた。
この部屋には、俺と草壁さん以外には誰もいる筈がない。
「誰だ?
どこにいるんだ」
「ここだ、ここ。
お前の言う通り、もう終わらせに来たぞ」
慌てて室内を見回すが、やはり誰もいない。
ま、まさか――!?
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