俺は本殿に着くと一般の参拝者と同じ様に、本殿の前に設置された賽銭箱に100円玉を放り投げ、鐘を鳴らして手を合わせた。

参拝者らしい仕草を一通り済ませると、御守りの販売所をチェックした。


とりあえず、見える範囲にいる巫女は2人…
その他にもいるのだろうか?

どちらにせよ、この場ではどうにもならない。時間を潰して、チャンスを待つしかあるまい。


俺は仕方なく、時間を潰す為に、本殿の裏にある離宮とか呼ばれる建物を見に行く事にした。

そこは本殿の横を抜け、更に奥へと200メートル程行った場所だった。

流石に、ここ迄来る参拝者は少なく、周囲に人影は無かった。しかも本殿とは違い、周囲は樹齢数百年だと思われる大木が何本もあり、昼までも薄暗い状況だった。


離宮が近付き、何気なく建物の左側を見ると、何者かが竹ぼうきで掃除をしている姿が目に入った。

白い着物に赤い袴…
あれは間違いなく、この神社の巫女だ――


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