「多分…

犯人は指を狙って犯行に及んでいるという事は、事前にその人を調べているのでしょう。

そうでなければ、その人が襲われた理由が曖昧になります。
気紛れに襲うと、リスクも高くなりますし…」


草壁さんは、俺の意見に大きく頷いた。

「そうですね…
行きずりの犯行だとは、とても思えませんね」

「だから、今までの犯行現場に、犯人は必ず下見に行っている訳です。

ホームセンターの店員、塾帰りの女子高生、花屋の店員、広田さん、バイト帰りの女子高生…

全ての犯行現場を、もう一度洗い直してみてはどうですか?」


「そうですね。

しかし…
葉山さん、手を狙われた事件をよく御存知ですね?」

「ええ、まあ…
いつも、テレビのニュース番組見てますから」


それは当然だろ?
俺が見極めて、納得がいく指を狙ったのだから…

それに、手は貴女の目の前にある、あの扉の向こう側にあるのだから。


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