「犯人は目撃者の証言からも、単独犯で大変腕力の強い人間です。
女性とはいえ、押さえ付けたままの状態で手を切り落とすなど、小柄な人や筋力の無い人には不可能です。
その5人の中に、貧弱でとても女性を押さえ付けていられない様な人はいますか?」
草壁さんは、名前を眺めながら人物像を思い出そうと目を閉じた。
そして、暫くブツブツと独り言を噛み締めた後、自信満々に言い切った。
「ネイルアーティストの2人は、明らかにその要件に当てはまりませんね。
2人とも小柄ですし、女性的と言うか…
華奢で、一般の女性でも、まず襲われて逃げられないなんて事は無いと思います」
「そうですか。
となると、犯人はジュエリーデザイナーの3人の内の誰か――
と言う事になりますね」
プッ…
犯人は俺だよ。
なぜその3人に、俺を加えていないんだ?
見てみろよこの店内を。
ジュエリーショップなのに、指輪以外置いていないだろ!!
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