百合の首を切り落として3日後――
俺は最後のターゲットである草壁さんの来店を、毎日待っていた。
簡単には取らない。
最後はじっくりと、絶望の底でもがき苦しむ姿を見ながら、左手を奪取したい。
「今日は!!」
そんな俺の気持ちを察するかの様に、ついに草壁さんが来店した。
「いらっしゃいませ。
その雰囲気だと、何か分かったんですね?」
「はい。
一応、市内のネイルアーティストとジュエリーデザイナーを、全員調べました」
草壁さんは晴れ晴れとした表情で、明るい笑顔を見せていた。
「それで…
調べてみると、手に執着しそうな人物は全部で5人。
ネイルアーティストの2人のうち1人は、一昨年の全国大会に出場し優勝しています。
そしてもう1人は、ファッション雑誌に取り上げられる等有名で、自分の作品には絶対の自信を持っている様です」
「なるほど…」
俺は大きく頷いた。
.