その夜――
俺は一睡もせず考えていた。
百合を殺した事を悲しいとは思わないし、百合を愛しいとも感じない。
俺は指輪から力を貰う為に、悲しみも愛情も失った…
だから、そんな感情がある筈がない。
それなのに…
なぜ、涙が溢れた?
そう言えば…
高山の時も野崎の時も、俺は最高に苛つき、なぶり殺しにした。
なぜだ?
俺は怒りの感情と引き換えに、力を手にした筈だ。
一体、何がどうなっているんだ?
悲しみ、罪悪感、怒り、それに愛情…
俺には、この4つの感情が存在していない筈だ。
それとも、俺がそう思っていた感情は、本当はそうではないのか?
いや……
やはり、百合を殺した罪悪感も悲しみも無ければ、顔を見ても愛しいと思わないし。
惑うな――
俺は正しい。
俺は天意によって行動し、神の力を分け与えられた者だ。
あと1つ、左手を手に入れるんだ!!
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