百合の頭が鈍い音と共に床に転がり、最期に作った笑顔のままので天井を向いて止まった。

その瞬間、力が抜けた身体が肩を持った俺の手を中心に倒れ、俺に寄り掛かった。


「俺にすがるな!!」

百合の身体を突き放す様に押すと、その場に膝から崩れ落ちた。


後は、この身体から左手を切り離し、残りをバラバラにしてゴミ袋に詰めれば終わりだ。


俺は百合の身体を仰向けにして寝かせると、左手を切断する為に右手に力を込めた――



「な、何だこれは…」

今から切断しようとする百合の腕が、見る間に何かで濡れていった。


ハッとして自分の頬に手をやると、目から止めどなく涙が溢れていた。

「なぜだ…
なぜ俺が、涙なんか流しているんだ?

俺は俺の邪魔をする奴を、裏切った奴に罰を与え、使命を果たす為に手を切断しようとしているだけなのに!!」


そう自分に言い聞かせても、流れる涙は増える事はあっても止まる事はなかった…


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