赤黒く発色し、黒い文字が浮かび上がっていた指輪が高熱を帯び、我慢できず呻き声が漏れる。
「ぐっ!!」
(・・・――契約は成立した)
その言葉が脳内に響いた瞬間、浮かび上がっていた文字が滲んで広がり、指輪が黒く変色。そして指輪は俺の人差し指に食い込む様に縮んでいき、激痛を伴いながら骨まで到達した。
声も出せない程の痛みに、俺は椅子から床に転げ落ちた。人差し指が切り落とされたのではないかと、震えながら左手を天井のライトに翳す。
あ、ある!?
人差し指は間違いなく、いつもと同じ様についている。
「ゆ、指輪は?」
嵌めたはずの指輪が跡形もなく消えている。
いや、消えてなどいない。
直接人差し指の骨に嵌まっている!!
指輪は俺を傷付ける事もなく、それが当然であるかの様に皮膚を透過していた。その証拠に、血が一滴も流れていなかった――



