「じゃあ…
ニュースでやってた、耳切り魔は敏樹?」

「違う――!!

あんな奴と一緒にするな。確かに奴を利用はしたが、耳切り魔は野崎という男だ」


百合は怒鳴られて2、3歩後退りした。

ふん!!
何を白々しく驚いたり、怯えたフリをしているんだ。

高山と寄りを戻し、事件の概要を聞き、俺に関する全ての情報を流したお前が、こんな事を知らない筈がないだろ。


まあ良い…
それならそれで、知らないフリをしたまま、あの世に逝け。



しかし――

百合の口からは、意外な言葉が発せられた。


「敏樹がそんな事をしていたなんて、少しも気付かなかった…

でも、それで敏樹の才能が開花して、納得出来るジュエリーが作れるのなら、私はそれで良いと思う。

私は敏樹の一番の理解者だし、敏樹の力になるのなら何だって許してあげる。

だって…
私には敏樹しかいないから、敏樹を心の底から愛しているから――」


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