百合は一度俺の方を振り向くと、そっと手を伸ばした。

そして手に取り、感触を確かめたり関節を曲げたりして確認した後、切断面を見て手が止まった。


「これ…何?
こんな所までリアルに出来てるけど、特撮用の道具?」

「いや…
本物だからそれ」


百合は一瞬真顔で俺の顔を見た後、大声で笑った。

「あははは!!
な、何を馬鹿な事を言ってるのよ。本物って言ったら、これは誰かの手だって事よ!!」

「そうだ」

「もぉ、冗談止めてよ。ネットか何かの通販で買ったんでしょ?」


高山から何もかも聞いて俺を売ったくせに、百合は白々しく信じようとしなかった。

「それなら、その切断面から指を中に入れてみれば良い」

「はあ?」


百合は俺の言葉に、自分の右手の親指をグッと切断面に押し込んだ。

「こんな事をして一体何が分かると……」


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