百合はグラタンを白いプラスチックのフォークでつつきながら、俺の事や会社の事を話し続けた。
何がそんなに嬉しいのか、終始オーバーアクションで御機嫌だった。
そして――
2人とも弁当を食べ終わり、お茶のペットボトルをラッパ飲みした後で百合が本題に入った。
「それで…
相談したい事って何?
今の敏樹には、特に悩み事なんか無いと思うけど。
あ、分かった!!
どこかもっと良い場所に移転したいとか?」
「違う、そうじゃない」
「ん――…
何だろ?
分からないなあ」
百合は首を傾げた後、俯いて暫く考えていた。
そうだ――
俺に悩み事等ある筈がない。
今の神憑った俺にあるものは、あと2つ左手を集める事と、百合…お前を始末する事だけだ。
その為だけに、お前は今ここにいるんだ。
左手を切断した後でバラバラに切り刻み、高山や野崎と同じ様に焼却炉で何も残さず燃え尽きるんだよ!!
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