だが、何も感じる事はなかった。
単なる、古い不要品の塊にしか思えず、そのまま全てをゴミ袋に突っ込んだ。
これで、身辺整理は終わった。後は百合が来るまで、ここで待っていれば良いだけだ。
俺はカウンターに座り、百合が扉を叩くのを待った…
それから1時間位経ち、時計が22時35分を指した時、不意に店の扉を叩く音がした。
「敏樹、私よ開けて」
俺はカウンターから出ると、扉まで歩いて行き鍵を開けた。
「お疲れさん」
百合は大きく溜め息を吐きながら、手に持っていたビニール袋を俺に手渡した。
「はい弁当。
どうせ、まだ食べてないんでしょ?
私もまだだから、一緒に食べよ」
ビニール袋の中を覗くと、中には豚カツ弁当が入っていた。俺はその弁当を見て、あの時の手紙を思い出した。
百合さえ高山に余計な事を言わなければ、もっと楽に使命を果たせたものを…
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