人間はの定義は何だ──
言葉を操る事?
道具を使う事?
それならば、なぜ指輪が5個もあるんだ?
・・・違う。
もっと人間として成立している理由があるはずだ。
「くそっ、分からない!!」
苛立ちながら両手を机に振り下ろす。その反動で机の上に置いていた器材が固い床の上に散らばり、乾いた金属音が部屋に響き渡った。
「ああ、そうか・・・そうだったんだ!!」
俺はケースから指輪を1個抜き取ると、目を閉じて深呼吸する。そして、スッと左手の人差し指に指輪を差し込む・・・
すると前回同様、脳に直接ノイズが飛び込んでくる。そのノイズに耐えていると、まるでラジオの周波数が合う様に、言葉に変換されていく――
(汝は何を欲するのか?)
俺は意を決して願いを唱える。
「俺は・・・貴金属を加工する世界一の技術が欲しい。誰よりも精巧で、誰よりも美しいフォルムを作り出せる能力が欲しい!!」
(では、汝は何を代償として捧げるのか?)
「悲しみを――・・・」



