俺は淡々といつもの様に、作業場で指輪を作り、来店客があれば接客をして過ごした。

やがて20時を回り、いつもの様に店を閉めた。


いつもと違うのは、2時間後に百合が来るという事…

そして、今日が百合との最後の日になるという事だ。



俺はカウンターに座り、周辺を整理し始めた。

百合に関わる物全てを、今日で破棄する為に…


カウンターの下になっている戸棚や、レジの台にしている机の引き出しを開けると、色々と忘れていた物が出てきた。

初めて一緒に遊びに行った時の写真や、以前住んでいたアパートで一緒に撮った写真…

それに、この店をオープンした時に、まだ殺風景で何も無かった店内にと持ってきた、2匹並んだフクロウの置物。


その他にも、思い出の品々がいくつも出てきた。

俺の脳裏に、出会った以降の事が鮮明に蘇った――


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