翌日――
俺の意思に吸い込まれる様に、朝一番で草壁さんが来店した。
その表情からは、俺への尊敬と信頼が手に取る様に分かった。
「葉山さん!!
葉山さんの言う通り被害者の残された耳を確認したところ、ピアスの穴が開いていませんでした。
被害者自身にも確認しましたが、今まで開けた事はないそうです」
フッ…
だから、そうだと言っただろう。
元々開いている穴にピアスを差し込んでも、何の快感も得られない。無垢な耳に開けてこそ、そこに沸き上がる高揚感があるんだ。
俺は何も知らなかった様に頷きながら、胸の前で腕を組んだ。
「そうですか、やはり…」
「これで犯人は愉快犯ではなく、目的を持って犯行に及んでいる事が分かりました。
それで容疑者の野崎の経歴を調べてみると、驚くべき事が分かりました」
「驚くべき事…?」
草壁さんは、首から下げていたクリーム色の鞄から紙を1枚取り出して、カウンターの上に置いた。
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