店内に入ると、草壁さんは一度唾を飲み込んで、興奮気味に話し始めた。
「発見されたんですよ」
「何がですか?」
「犯人の所有物が、隣町のコインロッカーから発見されたんです!!」
それは、至極当たり前の事だ。俺は知っていた、それを教えた訳だから不思議でも何でもない。
「そうなんですか!!
それは、おめでとうございます。これで犯人に、随分と近付きましたね」
「葉山さんが言った通りに、近隣の駅にあるコインロッカーのうち、3日以上料金が未払いになっている物を開けてもらったんです。
そうしたら、そのうちの1つから黒い鞄が出てきたんです。その中を確認すると、なんと…」
「なんと?」
「手の平サイズのガラスビンに、ホルマリン漬けにされた耳が入っていたんです。
それも15個も!!」
草壁さんは興奮して、半ば涙を浮かべながら終始話をしていた。
余程この事件について、上司から嫌味でも言われていたに違いない。
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