「駅のコインロッカーですか…」
それにしても、草壁さんの指は綺麗だ。いや綺麗だとか美しいだとか、そんな言葉が陳腐に思えて、表現する事すら難しい…
この指が欲しい――
「……さん、駅のコインロッカー探してみます」
「あ…ああ、そうですね。それが良いと思います。
3、4日料金が未払いになっているロッカーとかを、強制的に開錠してみたら良いのではないですか?」
そうだ、それが良い。
間違いなく、野崎の痕跡がコインロッカーから出てくる筈だ。
そして、アドバイスをした俺を信じろ。俺の言う事は全て正しいと、深く思い込め…
「じゃあ葉山さん、早速近隣の駅に行ってロッカーを調べてみます」
「ええ、頑張って下さいね」
慌ただしく店を出て行く草壁さんに軽く手を振りながら、俺は考えていた。
究極の指は、草壁さんの薬指に違いない…
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