「何か情報はありませんか?」
「情報ですか…」
俺は野崎の身体をゴミ袋に詰め込む時に、ズボンのポケットからコインロッカーの鍵が転がり落ちた事を思い出した。
鍵は一緒に捨ててしまったが、居場所を転々としていた野崎が持ち歩いていた物だ。おそらく、何か大事な物が入っていたに違いない…
隣町…
野崎はここに来る前、確かにそう言った。
「草壁さん、あくまでも個人的な予想ですけど、聞いて下さい。
犯人は、この街の繁華街を中心に犯行を繰り返していましたよね。警備の厳しくなったこの周辺に、犯人がいるとは思えません。
もし自分が犯人ならば、近くの町に潜伏します。
遠くまで行くには発見される危険が高くなるので、近場の知り合いの家を隠れ家にするでしょう。
あ、あと…
大切な物、例えば犯行の為の道具や切り取った耳は、持ち歩かないと思います。
駅のコインロッカーとかに入れ、保管してあるのではないですか?」
.



