俺はそんな野崎の前に素早く回り込むと、踏み出していた左足目掛けて右手を振った。
その瞬間、野崎は左側の壁に顔から激突し、鼻から血を流しながら悶絶して床に転がった。
「あ…足が…
俺の足が――!!」
野崎は自分の左足を抱き締め、涙を流し始めた。
既に身体の痛みよりも、恐怖心が勝っているのか悲鳴を上げる事は無かった。
「人の話は最後まで聞くものだ」
俺は野崎の眼前にしゃがみ、顔を覗き込んだ。
野崎は俺を見るだけで、神の罰を受ける罪人の様に怯えた目をして号泣した。
俺は野崎が抱き締めていた左足を取り上げると、切断面を見せ付けた。
「ほら見てみろ、この切り口を…
滑らかで、細胞の1つ1つまでが押し潰される事がなく、見事に切断されている。しかも、流血しないから、潤いを保ったままだ。
まさに、神の技だろう!!」
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