俺は作業場の扉を閉めると、手を触ろうとしている野崎に怒鳴った。
「汚い手で触るんじゃない!!」
「汚い…だ?」
野崎は俺の方を向くと、姿勢を低くして睨み付けてきた。
「俺の大切な飾り棚に、汚ならしい犯罪者が触るんじゃないと言ったんだ」
「ああん?
あんたも俺と同じ、薄汚い犯罪者だろうが!!
スカした顔して、自分だけ善人みたいな事を言ってんじゃねえよ!!
あんたは俺が捕まると困るから、俺の言う事を聞いてるんだろ!!」
狭い作業場に、耳が痛い程の怒声が反響した。
「同じ?
お前は何も分かってないな…
この手は、なぜ身体から切り離されても、新鮮な状態を保っていると思うんだ?
なぜ、一滴の血も流れていないと思うんだ?」
「チッ…
あんたの話なんか、聞きたくもねえよ。
さっさと金を出せよ。出さねえと、警察にチクるぞ」
愚かな奴だ。
自分の置かれた状況を、まるで分かっていないらしい…
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