俺はその女性店員の姿を目で追いながら、花屋のシャッターが下りる様子を見ていた。
後は、あの真ん中の半分まで閉められたシャッターの隙間から出て来るのを待つだけだ。
さてと、今日はどうやって左手を貰おうか?
スレ違い様の一瞬に、あの左手を切断するのも面白いかも知れない…
それから約10分後、女性店員がポニーテールの髪を揺らせながらシャッターを潜って出て来た。
どうやら1人の様だ。
もう1人の方がオーナーという事なのか…
俺は階段からフラリと立ち上がると、少なくなり始めた人の流れを、見失わない様につけて行った。
半袖の白地のTシャツから伸びる白い手が、歩く度に前後に振られ、3メートル程離れて歩く俺に一瞬近付く。
その度に軽く握られた手が手の届きそうな距離になり、思わず握ろうとしてしまう。
まだ早い。
ここでは人が多過ぎる…
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