俺は繁華街を通り抜け、歓楽街に入った。
とはいえ、地方都市の歓楽街などほんの一角で、しかもメインストリートとなるとほんの300メートル程しかない。
流行りの店は、この通りに全てあると言っても過言ではない。
つまり、華やかに着飾った女の大半は、この通りにいるという事だ。
この通りを歩く事が、理想の手を見付ける一番効率が良い方法なのだ。
俺は歓楽街に到着すると、メインストリートを端から歩き始めた――
通りに並ぶ眩しいネオンとざわめきの中を、仕事帰りのサラリーマンや学生の集団が歩いている。
夜に歓楽街を歩くなんて、一体何年ぶりだろうか?
「お兄さん、どう?
今ならセット料金、飲み放題で3000円よ」
ゆっくりと歩いていると、早速客引きの原色スーツを着た女が声を掛けてきた。
馴れ馴れしく、俺の腕を引きながら誘ってくる。俺には料金等、全く関係なかった。
俺の視線はこの腕を掴んでいる手を、瞬時に判定していた。
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