俺は指輪を手にするとサイズを確認し、左手の人差し指にズリズリとズラしながら嵌めた。

「別に何も起きないじゃないか?」

骨董屋の店主にサタン・リングだと告げらるれ、いかにもそれらしい説明を受け、しかもこの仰々しいケースに加え蓋を開けた時の異様な雰囲気・・・


正直、少し本物かも知れないと感じていた俺は拍子抜けした。

「残念・・・」

しかし、その時――
突然指輪が全体的に熱を帯び始め、表面に黒く文字らしき物が浮かび上がった!!

何が書いてあるのかは分からないが、文字は蓋の内側に彫られていた物と同じだった。


頭の中に言葉が直接伝わってくる。
いや、それは言葉というよりも、思念と表現した方が近いのかも知れない。

(汝は何を欲するのか?)

そうだ言葉とは違う。
イメージが自然に頭に浮かび、勝手に言葉に変換されているのだ!!

だから、声の主がどんな声だとか、それこそ男女の区別すら出来ない。