照明を消し、札をぶら下げたにも関わらずに入ってこようとするのは、泥棒か高山くらいのものだ。
俺は口元に笑みを浮かべながら、侵入者が作業場に入って来るのを待った。
店内を歩く足音は徐々に近くなり、カウンターに入る為の高さ70センチ程の仕切りが軋む音がした。
そして、作業場のドアノブが乾いた金属音と共にゆっくりと回った。そして、静かに扉が内側へと押されて開いた――
作業場はどこからも光が射し込む所はなく、店の照明が点いていなければ真っ暗で何も見えない。
侵入者の右足が入り、右手が入口付近の壁を叩く…
照明のスイッチを探している事は、容易に想像出来た。
直ぐにその手は照明のスイッチを見付け、一気に室内が明るくなった。
スーツ姿の男は作業場に入り、部屋の中心にある飾り台を見付けるお、息を荒げて叫んだ。
「あるじゃないか左手が…
やはり葉山が犯人だったんだ!!
あーはっはっは!!」
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