「じゃあ、ちょっと待っててくれるか?
今の服装を見せる為に、外に出てくるから」
俺はカウンターから出ると、野崎の横をすり抜け階段を上がった。
どこにいるのかは分からないが、高山は間違いなくこの近くで俺の事を監視している。
俺は階段を上がり歩道まで出ると、その場で背伸びをして自分だという事をアピールした。
そして白々しく、広田さんのブティックを覗き込み、ニタリと笑って階段を下りた。
これで準備は万端だ。間違いなく高山は、俺の罠にまんまとかかる…
店に戻ると着ていた服を脱ぎ、野崎に着せた。そして更に作業場から帽子を持ち出すと、深々と被らせた。
「よし、これで良いだろう。
後は余りキョロキョロせず、俯いたまま駅方面に行け。それと今は警戒が厳しいから、暫くは別の場所でコレクションを収集する様にしろ」
「悪いな」
「早く行け。
絶対に顔を上げるんじゃないぞ」
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