髪は長くなり黒くはなっているが、こいつは間違いなく、以前草壁さんが見せてくれた写真の男…

つまり、耳切り魔だ!!


「チッ
ここは、ピアスも置いてねぇのかよ!!」

男はそう言ってカウンターを蹴ると、背を向けた。俺はすかさず、その背中に声を掛けた。

「お前、野崎 竜平だな?」


俺の言葉に驚いた野崎は、扉まで走ると慌ててノブに手を掛けた。
俺はそんな野崎を、大声で急いで止めた。

「待て!!
外には警察がいるぞ!!

落ち着け、俺もお前に捕まってもらうと困るんだ。
逃がしてやるから、こっちに戻って来い」


野崎は振り返ると俺がどんな表情をしているか確認して、カウンターまで戻って来た。

「どういう事だよ?」

「少し事情があってな、俺は警察にマークされているんだ。
そんな俺の店に来るとは、お前もついてないな」


俺は警察が野崎がジュエリーショップに協力を求めている事や、野崎本人の写真を持っている事等を教えた。


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