例えば、いつも持ち歩いている様な物…
「何かないのか?」
無意識に頭を掻いた手を見て、視線がその手に止まった。
手……
俺は床に散乱した物を踏み砕きながら、ベッド代わりにしているソファーに急いだ。
そして、あの鉄製の箱を下から取り出した。
そうか手か。
手なら普段から必ず持っているし、当然隠す必要もない。
俺は箱の中から残り2つの指輪のうち1つを抜き取ると、自分の指に嵌めた。
俺が望む能力は、この手が自分の思う時に思う物を切断する力だ。
これさえあれば、今よりも効率良く大量に左手を集める事が出来る!!
「ぷっ…ふははは!!」
この部屋に所狭しと並べられた左手を想像しただけで、笑いが止まらない。
そして代償は当然…
「愛情だ!!
人を愛する様な気持ちはいらない。
百合でさえ俺を裏切った…
愛情など俺には全く必要ない!!」
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